前回はダイヤモンドホィールの選定をご紹介しました。
今回はダイヤモンドホィールレジンボンド・ビトリファイドの2種類の特徴をご紹介いたします。
ダイヤモンドホィールレジンボンドの特徴
レジンボンド(レジノイドボンド)は、熱硬化性合成樹脂で砥粒を保持し、適度な弾性により当たりもソフトで良好な面粗度が得られるボンドです。
切れ味は最も優れており、ドレッシングやツルーイングが容易に行えます。
ホィール設計により湿式だけでなく、乾式用途にも使用が可能になります。
超硬の研磨に適しております。
ダイヤモンドホィールビトリファイドの特徴
ビトリファイドは多結晶ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)の研磨に用いられる結合材です。耐熱性が高く、安定した研削力を長時間発揮するため、超硬合金などの硬質な材料だけでなく、多結晶素材の研削にも優れています。ビトリファイドは、レジンボンドよりも耐久性が高く、硬い材料に対して精度の高い研磨が可能です。
ダイヤモンドホィールにおいて、結合材の種類によってホィールの特性は大きく変わります。ここでは、レジンボンド(レジノイドボンド)とビトリファイドという2種類のダイヤモンドホイール結合材の特徴と、それぞれの用途について詳しく説明します。
レジンボンド(レジノイドボンド)の特徴
レジンボンドは、合成樹脂(熱硬化性樹脂)を使って砥粒を保持する結合材です。この樹脂は、硬化することで砥粒をしっかりと保持しつつ、適度な弾性も持っています。この特性により、レジンボンドのホイールは柔軟性が高く、研削中の「当たり」もソフトです。そのため、加工面の粗さを適度に抑えた、滑らかな仕上がりを実現します。
レジンボンドの主な特徴:
優れた切れ味
レジンボンドのホィールは、切れ味が非常に良好であるため、効率的な研削が可能です。砥粒の間に適度な弾性があることで、素材にしっかりと噛みつきつつ、余分な負荷をかけない設計となっています。
ドレッシングとツルーイングが容易
ドレッシング(ホィール表面の再生)やツルーイング(ホィールの形状修正)が簡単に行えます。これにより、加工を重ねてもホイールの形状を保ちやすく、安定した研削性能を長期間維持できます。
湿式・乾式両方の用途に対応可能
レジンボンドのホィールは、設計によって湿式・乾式の両方に対応できる柔軟性があります。湿式であれば冷却効果によりホイールの耐久性が向上し、乾式であれば柔軟性を活かして軽度な加工が可能になります。
超硬合金の研削に適している
レジンボンドは超硬合金の研削に特化しており、硬い材料を効率よく削ることが可能です。超硬合金は非常に硬度が高く、通常のホイールでは十分な切削力を発揮できませんが、レジンボンドのホィールであれば、適度な柔軟性により素材に合わせて細かく調整しながら効率的に削ることができます。
ビトリファイドの特徴
ビトリファイドは、セラミック結合材でできたダイヤモンドホィールです。この結合材は、砥粒を高温で焼き固めることによって作られており、非常に高い耐熱性と耐久性を持ちます。特に、多結晶ダイヤモンドや**CBN(立方晶窒化ホウ素)**のような硬質な材料の研削に優れており、安定した研削力を長時間発揮します。
ビトリファイドの主な特徴:
優れた耐熱性
ビトリファイドの結合材は、研削中の摩擦熱に強く、長時間使用しても温度による変形や性能低下が起こりにくい特性があります。耐熱性が高いため、湿式の研削が難しい場面でも安定した研削が可能です。
高い安定性と耐久性
高い耐久性により、研削力を長時間維持できます。レジンボンドに比べてホィール自体が硬く、形状が崩れにくいため、長期的に安定した加工が可能です。耐久性が求められる作業や、大量加工を行う場合にもビトリファイドが適しています。
硬い素材の高精度な研磨が可能
超硬合金やCBN、多結晶ダイヤモンドなど、特に硬質な素材に対して精度の高い研削ができるのがビトリファイドの大きな強みです。結合材自体が非常に硬いため、これらの硬質な材料に対しても強力な切削力を発揮します。また、硬い材料であっても細かい仕上がりを求められる場合に、ビトリファイドのホィールが重宝されます。
レジンボンドとビトリファイドの違い
切れ味: レジンボンドは切れ味に優れており、素早く効率的な研削が可能です。一方、ビトリファイドは、切れ味よりも耐久性や長時間の安定性に優れています。
耐熱性: ビトリファイドは、熱に強く、長時間の使用でも熱による劣化が少ないです。レジンボンドは、耐熱性ではビトリファイドに劣りますが、湿式の冷却で耐久性を高めることが可能です。
用途: レジンボンドは超硬合金の研削に特化しており、超硬の刃物や工具の加工に適しています。ビトリファイドは、CBNや多結晶ダイヤモンドのような硬い素材にも対応でき、硬質な材料に対して精度の高い研削が可能です。
結論
レジンボンドとビトリファイドは、研削する素材や加工の目的によって使い分けられます。レジンボンドは、柔軟性と切れ味に優れた選択肢で、超硬合金などを効率よく削ることができます。ビトリファイドは、耐熱性と耐久性を重視し、多結晶ダイヤモンドやCBNのような硬質素材に対して高い精度で安定した研削が可能です。用途や加工ニーズに応じて、どちらの結合材を選択するかが研削の品質と効率に大きな影響を与えます。
次回はレジンボンド・ビトリファイド以外のホィールをご紹介いたします。