ダイヤモンドホィールの選定

投稿者 : 謙櫻井 on

前回は、グラインダー砥石と取り扱いについてご紹介いたしました。

今回はダイヤモンドホィールの選定についてご紹介いたします。

ダイヤモンドホィールを選ぶ際には、加工の目的や素材に合わせて適切なホィールを使い分けることが重要です。特に、両頭グラインダーを使った加工では、ダイヤモンドホィールの種類と番定(粒度)が仕上がりや効率に大きく影響します。以下に、粗挽き用と仕上げ用のダイヤモンドホィールについて詳しく説明します。

ダイヤモンドホィールの種類
ダイヤモンドホィールは、その結合材によって性能が異なります。ここでは、レジンボンドとビトリファイドの二種類について説明します。

1. レジンボンド(樹脂結合)
レジンボンドは、超硬合金の研削に特化しています。適度な柔軟性があり、硬質な素材に対してもスムーズな研磨が可能です。これにより、削りすぎを防ぎつつ、短時間で効率的な作業ができます。また、メタルボンドと異なり削り速度も早いため、素早く研磨を行いたい場合に適しています。

2. ビトリファイド(セラミック結合)
ビトリファイドは多結晶ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)の研磨に用いられる結合材です。耐熱性が高く、安定した研削力を長時間発揮するため、超硬合金などの硬質な材料だけでなく、多結晶素材の研削にも優れています。ビトリファイドは、レジンボンドよりも耐久性が高く、硬い材料に対して精度の高い研磨が可能です。


ダイヤモンドホィールの形状と番定
当社では、形状と番定によって、粗挽きや仕上げにおける作業の効率が異なるため、それぞれの仕様について詳しく見ていきます。

レジンボンドの場合(主用途:超硬合金の研削)
粗挽き用ホィール

型番: 11V9
番定: #240(粗い粒度)
外径: φ125 mm
厚み: 5 mm
幅: 3 mm
内径: φ31.75 mm
この粗挽き用ホィールは、比較的粗い粒度を持ち、超硬合金や鉄シャンクを一度に削ることができます。粗挽きの工程では、まずこのホイールを使って素材の形を整え、次の仕上げ工程への準備を整えます。#240の粗い番定により、効率的に削ることが可能です。

仕上げ用ホィール

型番: 11V9
番定: #1200(細かい粒度)
外径: φ125 mm
厚み: 5 mm
幅: 3 mm
内径: φ31.75 mm
この仕上げ用ホィールは、非常に細かい粒度を持ち、粗挽き後の素材を滑らかに磨き上げます。特に刃物のように切れ味が求められる加工物に対して、#1200の番定は均一で美しい仕上がりを提供します。

ビトリファイドの場合(主用途:多結晶ダイヤモンド・CBN研磨)
粗挽き用ホィール

型番: 11B2
番定: #600(中間の粒度)
外径: φ100 mm
厚み: 10 mm
幅: 5 mm
内径: φ31.75 mm
ビトリファイドの粗挽きホィールは、#600の中間粒度であり、超硬合金や多結晶ダイヤモンドを安定して削ることができます。外径がφ100mmと、レジンボンドのホィールよりやや小ぶりで、厚みも10mmと厚く設計されているため、長時間の使用でも高い安定性を発揮します。このホィールは、耐熱性に優れたビトリファイド特有の結合材で、冷却効果を高めながら効率よく研削が行えるのが特徴です。

仕上げ用ホィール

型番:11B2
番定:#2000(細かい粒度)
外径:φ100mm
厚み:10mm
幅:5mm
内径:φ31.75mm
ビトリファイドの仕上げホィールは、#2000は非常に細かい粒度を持ち、粗挽き後の素材を滑らかに磨き上げます。


まとめ
ダイヤモンドホィールの選択は、加工素材や目的に応じた適切な形状や番定の選定が鍵です。当社では、超硬合金やCBN、多結晶素材を対象に、レジンボンドとビトリファイドのホィールを使い分けています。粗挽きには粒度の粗いホィール、仕上げには粒度の細かいホィールを採用し、効率的かつ美しい仕上がりを追求しています。

次回はダイヤモンドホィールのレジンボンド・ビトリファイドの特徴